『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください』

クリスマスイブにはふさわしからぬ話題かもしれませんが、この本面白かったのでご紹介。

言わずと知れたジェンダー研究の大御所上野千鶴子先生(1948生)と、近頃話題の?若手社会学古市憲寿氏(1985生)の対談。

内容は2つの意味で予想はずれ。

ひとつは、「介護不安」は、うちらの親の介護どうなっちゃうんだろう、という具体的な不安ではなく、親が死んでしまう老いてしまうというのがなんか嫌、的な漠然とした不安であったということ。

二つ目は、団塊世代団塊ジュニア世代の家族論親子論の側面が強かったということ。

ひとつめの、「親が死ぬことへの漠然とした不安」を抱く心理とは何か?を上野先生が対談を通じて丁寧にひもといていきます。

私はまさに団塊世代の(上野先生と同い年の)親を持つ団塊ジュニア世代なので、とても興味深く読みました。もっとも、私の親は、本書の中で言われてるような「指導せず、管理せず、抑圧しない親、友達親子」ではなかったですが、たぶん。

もちろんこの本には、現在の介護界のほんとに概要の部分も書かれていて、そのあたりの知識をおさえたい人も本当の手はじめとして◎。団塊世代は多くの場合資産というと不動産(自宅)なのでそれ自体は収益を生むものではなく、年金もぎりぎり生活していける程度の額でしかなく、医療費と介護費用が夫婦2人分かかるようになってしまったらお金は足りない場合が多い、という指摘など、子ども世代からするとどきりとすることも。

でも、親が介護が必要となっても仕事辞めてはいけないし、同居もだめよと。なるほどなるほど。


本の最後の、あとがきに代えての、上野先生から古市くん(知り合いでもないのに、くん付けしたくなるものがある、この読後)への返信は、若い世代への愛情がこもっておりなおかつ文章としてもすばらしく、心をうたれました。