専業主婦って、「誰にでもできる簡単なお仕事」じゃないよね?

将来は専業主婦になって子どもは2人、というのは、今の若い人たちの間でもよくある願望らしいです。

これを聞いて私が純粋に疑問に思うのは、専業主婦になりたいと思ってるひとたちは、専業主婦とはどういうお仕事だと思っているのだろう?ということです。

少なくとも乳幼児期において、専業主婦の子育てってかなり大変だと思うのですが、その大変さを織り込み済みでそれでもなおやりたいと思っているのか、それとも、大変さを理解していなくて、なんとなく、簡単そう楽そうと思ってるのか、どちらなのでしょうか。

もし、自分の母親が楽しそうに専業主婦をしてたからという理由で「私も」と思っているのだったら、それは、あなたたち子どもがある程度育った時期の母親のことしか記憶に無いからなだけで、実は、子ども(自分)が小さいときはきいきい言いながら子育てしていたのを知らないだけかもしれません。

また、子育て環境は今と昔とではかなり違います。もし本気で専業主婦を目指すなら、自分の母親のような「超大先輩」ではなくて、今まさに子育てしてるような「若手」にOG訪問して専業主婦の実態について話を聞いたほうがいいのではないでしょうか。


私も専業主婦だったことがないので想像でしかないのですが、
幼稚園に入るまでの3年間とか4年間、子どもが一番わがままで一番むちゃくちゃな時期に、朝から晩まで母親一人で面倒見る、というのは、かなり無理のある子育てモデルではないかと思います。

(ちなみに、働く母親が仕事の傍ら家事も育児も一人でこなす、というのもかなり無理があるのは言うまでもありません。)

わが子といる生活は幸せだろう、なんて単純に思っているのだったら、それは認識が甘いわけでして、子どもの欲望と親の欲望というのはたいていにおいて相反する場合が多く、それになんとか折り合いをつけてやっと一日が回っていく。幼い子との生活とはそのようなものだと思います。


例えば、子どもはお砂場とか大好きです。でも、普通に考えて、大の大人が砂場遊びなんかしても楽しくないと思います。でも、子どもは毎日砂場に行きたがります。暑い日も寒い日も毎日。しかも、一緒に遊ぶことを要求してきます。
そして、砂遊びのあとで砂だらけになった子どもと自分と服と靴をきれいにするのは自分の仕事です。面倒なことこの上ありません。

例えば、味覚は子どものうちに発達するのだからいろんなものを食べさせないといけない、などといわれます。まじめな人であれば、季節の食材を使った栄養バランスのとれたお食事を、子どもが昼寝してるすきを利用して一生懸命用意したりするわけですが、子どもは全然食べなかったりします。
そして、子どもが偏食気味だったりすると、「親が悪い」みたいなことを言われたりします。

例えば、買い物に出かけたりしても、子どもはおとなしくなんかしてくれません。勝手に商品を取ってきたり、座り込んだり、カートを押したがったり、飽きて泣いたりします。そして、通りがかりの人に「しつけがなってないわねえ」みたいな目で見られたりします。

例えば、テレビを見せすぎるのはよくない、早寝早起き規則正しい生活をさせなさい、などといわれます。けれどそれを実現するためには、親は子どもが起きている時間はほとんどすべて子どもに付き合い、生活時間をすべて子どもに合わせる必要があり、自分の時間などなくなってしまいます。

たしかに、子どもとの生活は楽しいこともうれしいこともたくさんあるのだけれど、大変なこと、辛いこともあるわけで、楽しいことばかりなわけではないのは、他のあらゆる職業と一緒です。

例えば、スチュワーデスにあこがれるひともいれば、あこがれないひともいるし、向いてるひともいれば向いてないひともいて、すごくやりがいを感じるひともいればそうでないひともいるように、
専業主婦だって、あこがれるひともいればあこがれないひともいて、むいてるひともいればむいてないひともいて、やりがいをかんじるひともいればそうでないひともいる、というものじゃないでしょうか。

なのになぜ、専業主婦って、「幸せそう」なイメージ(ならいいですけれど、下手すると、「楽そう」とか「簡単そう」っていうイメージもある?)があったりするのでしょうか。

かくいう私も、自分の子どもが生まれ、そして保育園に預けるまで、子育てがこんなに大変で、保育園が親にとってこんなに助かる場所だということを、知らなかったのだけれど。

長男が保育園に慣れてきた頃、ああ、「自宅で私(とか夫)がついている」以外にも彼が安心して過ごせる場所ができたのだ、と肩の荷が下りた気持ちがしたことは今もはっきりと覚えています。
母親である自分以外にも長男のことを毎日見てくれて性格や好みなどもよく知っているひとがいてくれること、自宅以外にも安心して過ごせる場所ができたことは、私にとって本当にありがたいことでした。


働いていようといまいと、乳幼児の子育てを母親ひとりで担うのは無理がある。この認識が大前提として共有されていないことが問題なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。